「障害者手帳って、取ったほうがいいんでしょうか?」
「一度取ったら、もう普通に戻れない気がして…」
「周りにどう見られるかが不安です」
精神科PSWとして相談を受けていると、
手帳の話題は、ほぼ必ずと言っていいほど“迷い”とセットで出てきます。
それもそのはずで、
障害者手帳は「支援の入り口」である一方、
“自分にレッテルを貼るようで怖い”制度でもあるからです。
この記事では、
- 障害者手帳を持つと何が変わるのか
- メリットとデメリット
- どんなタイミングで考えればいいのか
を、不安を煽らず、判断できる材料として整理します。
① 障害者手帳って、そもそも何のためのもの?
障害者手帳は、
「あなたが困っていることを“公的に認めるための証明書」です。
精神疾患の場合は、
精神障害者保健福祉手帳 が該当します。
重要なのは、
👉 「能力の低さ」を証明するものではない
👉 「支援が必要な場面がある」ことを示すもの
という点です。
PSWとしては、
「困りごとを減らすための“道具のひとつ”」
と捉えてもらうことが多いです。
② 取得するメリット(実際によくあるもの)
● ① 生活面の負担が軽くなる
- 公共交通機関の割引
- 税金の控除・減免
- 公共施設の利用料減免
- 携帯料金の割引
- NHK受信料の減免(条件あり)
「毎月少しずつ楽になる」 という声はとても多いです。
※詳細はお住いの自治体に確認することをお勧めします。
● ② 働く場面で“配慮をお願いしやすくなる”
- 障害者雇用の選択肢が広がる
- 勤務時間や業務内容の調整
- 通院配慮の相談がしやすい
特に、
「体調に波がある人」 にとっては、
“説明し続けなくていい”安心感があります。
● ③ 支援や制度につながりやすくなる
- 就労支援
- 相談支援
- 生活支援
- 公的制度の説明がスムーズになる
支援者側も、
状況を前提として話ができるため、
ミスマッチが減ります。
③ 取得するデメリット・不安に感じやすい点
ここは、きれいごとを言わずに整理します。
● ① 「レッテルを貼られるのでは」という不安
とても自然な感情です。
ただ、現実的には
👉 手帳を持っていることを 自分から言わなければ他人に知られることはありません
👉 履歴書や日常生活で 必ず提示する義務はありません
「誰に、どこまで伝えるか」は
あなたが決めていいことです。
● ② 就職や転職で不利になるのでは?
これもよくある不安ですが、
- 一般就労 → 手帳の有無は原則関係なし
- 障害者雇用 → むしろ必要
つまり、
「不利になる」かどうかは、選ぶ働き方次第です。
● ③ 「一度取ったら一生?」という誤解
実際は、
- 有効期限あり(更新制)
- 状態が改善すれば更新しない選択も可能
👉 「一度取ったら戻れない」制度ではありません。
④ こんな人は「検討していいタイミング」
PSWとして、よくお伝えする目安です。
- 体調の波が長く続いている
- 仕事や生活に支障が出ている
- 配慮なしで頑張るのが限界
- 制度を使わずに我慢している
- 「取ったほうが楽かも」と少しでも思った
👉 迷いが出ている時点で、検討してOK です。
「まだ早いかな?」と思う人ほど、
実は 使うことで楽になるケース も多いです。
⑤ 申請の“ベストな考え方”
✔ 取る・取らないは「戦略」
障害者手帳は
アイデンティティではなく、選択肢。
- 今は使わない
- 必要になったら使う
- まずは持っておく
どれも正解です。
✔ 迷ったら、相談してから決めていい
- 主治医
- PSW
- 相談支援専門員
👉 「取ったほうがいいですか?」ではなく
👉 「今の生活で困っていること」を話すのがおすすめです。
その上で、
「手帳が役に立つかどうか」を一緒に考えれば十分です。
🌈 まとめ
障害者手帳は、
“弱さの証明”ではありません。
あなたがこれまで
必死に頑張ってきたこと、
困りながらも生活してきたことを、
社会が少し支えるための仕組みです。
- 取らなくてもいい
- 取ってもいい
- 今決めなくてもいい
大切なのは、
👉 「一人で抱え込まないこと」
👉 「使える選択肢を知っておくこと」
あなたが少しでも楽に生きるための判断を、
心から応援しています。



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