「どう接すればいいのかわからない」
「励ましたいのに、かえって悪くしている気がする」
「自分が先に壊れてしまいそう…」
家族が心の病気になったとき、
多くの方が “正解のない役割” を一人で背負い込んでしまいます。
精神科PSWとして、また家族支援に関わる中で、
私は何度もこんな言葉を聞いてきました。
「支える側なのに、弱音を吐いてはいけない気がして…」
まず、はっきりお伝えしたいことがあります。
支える家族が疲れてしまうのは、当然のことです。
この記事では、
家族が「心の病気」になったときに
共倒れにならず、長く関われるための距離感とサポートのコツを
やさしく整理してお伝えします。
① 「治してあげなきゃ」と思いすぎない
家族が苦しんでいる姿を見ると、
どうしてもこう思ってしまいます。
- 何とかして元気にしてあげたい
- 自分が頑張れば良くなるはず
- 支えが足りないのではないか
でも、心の病気は
家族の頑張りだけで治るものではありません。
治療の主体は
- 本人
- 医師
- 支援者
家族の役割は、
👉 「治す人」ではなく「そばにいる人」 です。
ここを勘違いすると、
家族はあっという間に疲れ切ってしまいます。
② 正しい距離感は「冷たさ」ではない
よくある誤解が、
距離をとる=見捨てる という考え方。
でも実際は逆です。
- 何でも先回りしてやってしまう
- 感情をすべて受け止め続ける
- 24時間気を張り続ける
こうした関わり方は、
家族の心を確実にすり減らします。
大切なのは、
「できること」と「できないこと」を分けること。
例として――
- 通院の付き添いはする
- 生活のすべては背負わない
- 感情のぶつけ先にはならない
👉 これは「冷たい」のではなく
👉 “続けるための距離” です。
③ 「どう声をかけるか」より「どう聴くか」
家族が一番悩むのが、
声のかけ方です。
でも実は、
正解の言葉を探す必要はありません。
避けたい言葉
- 「気の持ちようだよ」
- 「みんな頑張ってる」
- 「前向きに考えよう」
代わりにおすすめなのは、
- 「つらいんだね」
- 「今はしんどい時期なんだね」
- 「話してくれてありがとう」
👉 解決しなくていい。理解しようとする姿勢
それだけで、本人は十分救われます。
④ 家族自身の「限界サイン」を見逃さない
PSWとして強くお伝えしたいのは、
家族の不調は、とても見逃されやすい ということ。
こんなサインが出ていたら要注意です。
- 眠れない
- 食欲がない
- 常に緊張している
- イライラが増えた
- 何も楽しく感じない
- 誰にも相談できていない
👉 これは 「支える側のSOS」 です。
家族が倒れてしまえば、
結果的に当事者もさらに不安定になります。
⑤ 「一人で支えない仕組み」を早めに作る
共倒れを防ぐ最大のポイントは、
支援を“分散”させることです。
家族だけで抱えず、
次のような支援を早めに検討してください。
- 主治医への家族相談
- 病院のPSW
- 相談支援専門員
- 家族会
- 地域の相談窓口
👉 「まだ大丈夫」と思っているうちに
👉 相談していい のが、心の病気の支援です。
⑥ 「あなたの人生」も、同じくらい大切
支援の現場で、
とても印象に残っている言葉があります。
「この子の人生のために、
自分の人生は後回しでいいと思っていました」
でも、支援は 犠牲の上に成り立つものではありません。
- あなたが休むこと
- あなたが笑うこと
- あなたが助けを求めること
これらはすべて、
当事者にとってもプラスになる行動です。
🌈 まとめ
家族が心の病気になったとき、
正解を探そうとすると、必ず苦しくなります。
大切なのは――
- 治そうとしすぎない
- 距離をとることを怖がらない
- 聴くことを大切にする
- 自分の限界を知る
- 一人で抱え込まない
あなたが「しんどい」と感じているなら、
それは もう十分頑張ってきた証拠 です。
支えるあなた自身が守られてこそ、
支援は続いていきます。
どうか、
あなた一人で背負わないでください。


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