#21 「家に来てもらうのは怖い?」
~精神科訪問看護の“本当の”役割と、利用してよかったこと3選~

医療のヒント

「家に人が来るのが苦手」

「知らない人を部屋に入れるのは怖い」

「訪問看護って、もっと重症の人が使うものじゃないの?」

精神科の訪問看護に対して、こうした不安を感じる方はとても多いです。

特に、

  • 1人暮らし
  • 体調に波がある
  • 薬の管理や生活リズムが崩れやすい

そんな方ほど、訪問看護が“大きな助け”になる可能性が高いのですが、同時に「家に来る」こと自体が一番高いハードルになってしまいます。

この記事では、精神科病院のPSWの視点から、 精神科訪問看護の本当の役割と、「家に来るのが怖い」人が安心して始めるためのコツをお伝えします。


① 精神科訪問看護とは?(ざっくり言うと)

精神科訪問看護は、看護師や作業療法士などが自宅を訪問し、心と生活の安定をサポートする医療サービスです。

病院の治療は、基本的に「診察の日」だけで進みます。 でも、あなたの生活は 診察日以外のほうが圧倒的に長い ですよね。

訪問看護は、その空白の時間を埋める 👉 「生活の場のパートナー(ペースメーカー)」 だと思ってください。


② 「監視されるの?」よくある誤解をほどきます

不安の中で多いのが、この3つの誤解です。

❌ 誤解①:監視される・チェックされる

→ 実際は「困っていることを一緒に整理する」時間です。

「薬飲んだ?」「ダメじゃない」と叱る場ではありません。「どうすれば楽に過ごせるか」を作戦会議する場です。

❌ 誤解②:家の中(散らかった部屋)を見られる

→ 訪問看護は、家の中を評価するサービスではありません。

これ、一番多い悩みですが、散らかっていても絶対に大丈夫です。 看護師は「だらしない」とは思いません。「今は片付けるエネルギーが落ちている時期なんだな」と、体調を知るための大事な情報として受け止めます。片付けずに、そのまま来てもらってOKです。

❌ 誤解③:一度頼んだら断れない

→ 合わなければ断ってOKです。 訪問看護師も人間なので「合う・合わない」があることを理解しています。「担当を変えてほしい」「やめたい」は、相談員(PSW)を通せば角が立たずに伝えられます。


③ 精神科訪問看護の“本当の”役割

訪問看護がやっていることは、ざっくり言うと次の3つです。

✔ 役割①:体調の波を一緒に「見える化」する

  • 何がきっかけで崩れるか
  • どのタイミングが危ないか
  • どんな時に少し回復するか

これを一緒に整理することで、訳のわからない体調の波が 「怖いもの」から「読めるもの(対策できるもの)」 に変わります。

✔ 役割②:生活の土台(睡眠・食事・服薬)を整える

精神科の治療は、薬だけでは完結しません。 ここが崩れると、症状は一気に悪化しやすくなります。訪問看護は、乱れた生活リズムの “再起動” を手伝う存在です。

✔ 役割③:危ない時に「一人にしない」

一人暮らしの方にとって、一番怖いのは 「体調が落ちて動けない時に、誰にも気づかれないこと」 です。 訪問看護が入っていれば、「様子がおかしい」と早期に気づき、医師と連携して悪化前に対処できます。


④ 利用してよかったこと3選(よくある実感)

ここからは、実際に利用した人が感じやすい「よかったポイント」を紹介します。

① 「生活が崩れ切る前」に立て直せた

「眠れていない」「お風呂に入れていない」……こうした“崩れ始め”の段階でプロが気づいてくれるため、大ごとになる前に立て直しができます。

👉 底まで落ちてから病院に行くより、回復がはるかに早くて楽です。

② 薬の飲み方が整い、安心が増えた

薬が飲めないのは、「意志が弱いから」ではありません。 「副作用が怖い」「タイミングが合わない」など理由があります。訪問看護師は、「飲めない理由」を責めずに、カレンダーやケースを使って現実的な工夫を一緒に考えてくれます。

③ “困った時に話せる人”ができた

これがいちばん大きいです。 家族には心配かけたくない、友達には重すぎる、医師には診察時間が足りない……。 そんな悩みを、「自分の部屋」という安心できる場所で話せる相手がいるだけで、心の安定感は大きく変わります。


⑤ 「家に来るのが怖い」人が、安心して始めるコツ

ここは、この記事の一番の肝です。 「利用してみたいけど、やっぱり怖い」という方は、この3つを試してみてください。

✔ コツ①:最初は“玄関だけ”でもいい

必ずしも部屋の奥まで招き入れる必要はありません。 「玄関先で立ち話」「インターホン越し」からスタートしてもOKです。慣れてきたらリビングへ、という方もたくさんいます。

✔ コツ②:パジャマやスッピンでいい

「着替えなきゃ」「お茶出さなきゃ」なんて思わなくて大丈夫。 むしろ、「ありのままの姿」を見せるのが訪問看護です。おもてなしは一切不要です。

✔ コツ③:「何をされるのか」を先に聞く

不安の正体は、だいたい「分からないこと」です。 「何分くらい?(30分など)」「何を話すの?(血圧測定と雑談など)」 これを事前にPSWなどに確認しておくと、安心感が一気に増えます。


🌈 まとめ

精神科訪問看護は、「監視」のためのものでも、「重症の人だけ」のものでもありません。

  • 一人暮らしで不安がある
  • 生活リズムが崩れやすい
  • 誰にも相談できず抱え込みやすい

そんな人が、生活の場で“ほっとする時間”を持つためのサービスです。

そして、費用についても「自立支援医療」が使えるため、経済的な負担も軽く済むことがほとんどです。

「家に来てもらうのが怖い」 その感覚は、とても自然なものです。 怖さがある人ほど、安心して使える形(玄関対応など)を一緒に探すことができます。

どうか、一人で部屋の中で頑張り続けないでくださいね。 ドアを少し開けるだけで、入ってくる「新しい風」がありますよ。

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