「親に優しくしたいのに、どうしてもイライラしてしまう…」
「怒りたくないのに声を荒げてしまう」
「介護がつらくて、もう限界かもしれない…」
介護の相談を受けていると、
こうした言葉を涙ながらに話すご家族が少なくありません。
でも、まず知ってほしいのは——
イライラしてしまうのは“あなたが悪いからではない”ということ。
介護は、体力・時間・気持ちのすべてを使い続ける「長距離マラソン」。
誰でも途中で苦しくなる場面があります。
この記事では、
高齢者介護施設の相談員としての経験 と
精神科PSWとしての視点 を合わせて、
介護疲れを軽くするための 5つの心構え をお伝えします。
① イライラは「悪い感情」ではなく、心のSOS
多くの人は「親にイライラするなんて…」と自分を責めてしまいます。
でも、イライラは心の異常ではなく
あなたの心が限界に近づいているサイン です。
- 自分の時間がない
- 眠れない
- 先が見えない
- 感謝されない
- 役割が重すぎる
こんな環境で誰もが冷静ではいられません。
まずは
「イライラしてしまう自分=当たり前」 と認めてあげてください。
罪悪感が少し薄れるだけで、心が少し軽くなります。
② すべてを一人で抱え込まない。「手放していい部分」を見つける
介護を頑張る人ほど、
「自分がやらなきゃ」「迷惑をかけられない」
という思いが強くなります。
でも、その責任感が “介護疲れ” の最大の原因です。
相談員として多くの家族を見てきましたが、
介護は一人で背負うものではありません。
以下の部分は「誰かに任せていい部分」です。
- 排泄介助
- 入浴
- 食事の見守り
- 通院の付き添い
- デイサービスの利用
- 福祉用具の調整
- ケアマネへの相談
介護保険サービスは、
あなたの負担を軽くするために存在しています。
“手放せるところ”を少しでも見つけましょう。
③ 気持ちが限界なら「距離をとる」ことも支援のひとつ
精神的に追い詰められているとき、
介護を続けるだけでさらに状況が悪化することがあります。
PSWとして伝えたいのは、
「距離をとること=逃げること」ではない ということ。
● 数時間、外に出る
● デイサービスにあずけて休む
● ショートステイを利用する
● 他の家族に頼む
● ケアマネに支援を相談する
介護から一歩離れる“休息の時間”は、
長く介護を続けていくための大切な技術です。
むしろ、
自分を守れる人ほど、介護を続けやすい。
④ 「完璧な介護」よりも「安全で穏やかな時間」を目指す
介護に正解はありません。
もっと言えば、
完璧な介護など存在しません。
- いつも優しく接しなきゃ
- 毎日ちゃんと見ていなきゃ
- すべて完璧にしなきゃ
そんな風に思うほど、苦しさは増えていきます。
大切なのは、
“できる範囲で安全に過ごせること”
そして
“少しでも穏やかに過ごせる時間を作ること”。
介護の質は「あなたの愛情」だけで決まりません。
制度・サービス・環境の整え方で変わります。
肩の力を抜いて、
その日の自分ができる介護をすれば十分です。
⑤ 自分の感情を言葉にする場所を作る
介護家族が一番追い詰められるのは、
“「誰にも言えない孤独」”です。
相談員として感じるのは、
「話せる場所」があるだけで
介護はずっと楽になります。
- ケアマネ
- デイサービス職員
- 病院のPSW
- 家族会
- 行政の介護相談窓口
- 友人
- SNSのコミュニティ
どこでも構いません。
あなたの気持ちを“吐き出せる場所”を確保してください。
言葉にするだけで、心の重さがふっと軽くなることがあります。
🌈 まとめ
親にイライラしてしまうのは、
あなたが弱いからではありません。
介護がそれほどまでに大変だから。
あなたが本気で向き合っているから。
大切なのは、
- 自分を責めないこと
- 一人で抱えないこと
- 完璧を目指さないこと
- 休むこと
- 誰かに話すこと
この5つの心構えを意識するだけで、
介護の見え方が変わり、負担は大きく減ります。
あなたは十分に頑張っています。
どうか自分自身の心も、大切にしてあげてくださいね。


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