#18 「ダブルケア」って何?
~育児と介護が同時に来た時に、“まず手放すべき”家事と心の荷物~

福祉のヒント

「子どものことで手一杯なのに、親の介護の話まで出てきた」

「どちらも大事。でも、もう限界…」

「私が頑張らなきゃ、回らない気がする」

育児と介護が同時に重なる状態を、「ダブルケア」 と呼びます。

晩婚化や高齢出産が増えた今、30〜50代のいわゆる “サンドイッチ世代” にとって、これは決して珍しい状況ではありません。

この記事では、キャパオーバー寸前の方に向けて、 まず手放していい家事・役割・心の荷物を整理し、 少し呼吸が楽になる視点をお伝えします。


① ダブルケアがしんどいのは「あなたが弱いから」ではない

最初に、はっきりお伝えします。 👉 ダブルケアがつらいのは、構造的に無理があるからです。

  • 育児 = 待ったなし、成長の予測がつかない
  • 介護 = 正解がない、終わりが見えにくい
  • 仕事 = 責任が続く

この3つを同時に抱えれば、どんなにタフな人でも限界に近づきます。

さらに、日本の制度は「子育ては子育て窓口」「介護は介護窓口」と分かれていることが多く(縦割り行政)、手続きだけでも倍の労力がかかるのが現実です。

「みんなやってるから」 「私が要領が悪いから」 そう自分を責めてしまう方ほど、実は 一人で抱えすぎている(抱えさせられている) ケースがとても多いのです。


② まず手放していい「家事」3つ

全部を完璧にやろうとすると、心も体も先に壊れてしまいます。

✔ ① 「ちゃんと作る」食事

  • 毎食手作り
  • 栄養バランス完璧
  • 家族全員の好みに合わせる

👉 ここは最優先で手放してOK。 冷凍食品、お惣菜、宅配弁当、レトルト……これらは「手抜き」ではなく、あなたの命と時間を守るための「賢い選択」です。

✔ ② 「毎日きれい」にする家

  • 毎日掃除機をかける
  • 洗濯物をきれいに畳む
  • 部屋をピカピカに保つ

👉 頻度を落として問題ありません。 「週1回で十分」「見える所だけ」「死ななきゃOK」。 この基準まで下げて、やっとバランスが取れるのがダブルケアです。

✔ ③ 「自分がやる前提」の家事

  • 代わりはいない
  • 私がやらなきゃ

👉 この前提自体を手放しましょう。 パートナーはもちろん、子ども(年齢に応じて「自分のことは自分で」)、そして便利な家電や外部サービス。 「任せる」ことは、責任放棄ではありません。チーム運営への切り替えです。


③ 次に手放していい「心の荷物」

家事以上に、ダブルケアの人を苦しめるのが、目に見えない「心の負担」です。

✔ ① 「全部ちゃんとやらなきゃ」という思い

  • 良い親でいたい
  • 良い子ども(嫁・婿)でいたい

👉 両立させて100点を取るのは、物理的に不可能です。 今は「どちらも50〜60点で御の字」。今日一日無事に終われば満点、くらいにハードルを下げましょう。

✔ ② 「私しかいない」という思い込み

  • 親のことは自分が見るもの
  • 他人に頼むのは申し訳ない

👉 実際には、支援(プロ)を使う人ほど、在宅生活が長く続きます。 プロが入ることで、親御さんも家族には言えない悩みを話せたり、気分転換になったりすることも多いのです。

✔ ③ 「弱音を吐いてはいけない」というルール

  • しんどいと言えない
  • 相談する余裕もない

👉 これがいちばん危険です。 弱音は、心が壊れる前の「緊急ブレーキ」です。


④ 優先順位は「子ども → 自分 → 親」でいい

この順番に、罪悪感を覚える方はとても多いです。 でも、PSWとして心を鬼にしてお伝えしたいのは——

👉 この順番で考えてみてほしいということ。

  1. 子ども: 自力では生きられず、未来がある存在(最優先)
  2. 自分: ケアの司令塔。あなたが倒れたら全て止まる
  3. 親: 介護保険などの「社会的な支え」がある存在

親を大切に思うからこそ、 「親のケアはプロ(制度)に任せ、自分は子どものケアと自分の休息に充てる」 という 役割分担 が必要になります。


⑤ 今すぐできる「楽になる一歩」

全部を一気に変えなくて大丈夫です。

  • 今日は夕飯をお惣菜にする
  • 地域包括支援センターに電話だけしてみる
  • ケアマネジャーに「もう限界です」と正直に伝える

👉 「1つ」だけでいいんです。

あなたが少しでも楽になることは、結果として、家族全体の安定につながります。


🌈 まとめ

ダブルケアは、気合や努力で乗り切れる問題ではありません。

  • 手放すこと
  • 任せること
  • 完璧を諦めること

これらはすべて、『逃げではなく“戦略”』です。

もし今、「もう限界かも」と感じているなら、 それは 「助けを使っていい(ステージが変わった)」サイン です。

どうか、一人で抱え込まないでくださいね。

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