「これって病院に相談するべき?」
「それとも介護施設?ケアマネ?どこが正解?」
「親の状態が悪くても、どこに相談したらいいのかわからない…」
高齢者の支援に関わっていると、
ご家族からこうした悩みを本当に多く聞きます。
医療と介護はつながっているようで、
実は“相談先が違う”ことがよくあります。
でも大丈夫。
今日は、相談員としての経験と、
精神科PSWとしての現場視点を合わせて、
高齢者の「困った!」が起きたときに迷わないための“相談先の地図”
をわかりやすくお伝えします。
① まず知ってほしい「医療」と「介護」の境界線
医療も介護も、大事なのは 「今、何が問題か」 という視点。
✔ 医療が得意な領域
- 急な発熱・脱水・ケガ
- 意識がぼんやりする、転倒を繰り返す
- 認知症の急な悪化(せん妄)
- 薬の調整が必要
- 寝たきりが急に進んだ
医療が必要な時は 主治医・病院・救急 が窓口。
✔ 介護が得意な領域
- 食事・排泄・入浴が大変
- 一人暮らしで生活が難しい
- 認知症で見守りが必要
- 家族の介護負担が限界
- 手すり・ベッドなど環境調整が必要
“生活の困りごと”は 介護保険(ケアマネ・地域包括) が窓口。
② 今の状態で「どこに相談すればいいか」早見表
迷った時は、この地図を見ると一瞬で判断できます。
🟥 緊急性がある(命に関わる可能性)
→ 救急(119)・病院・主治医
- 意識がない
- 呼びかけても反応が弱い
- 発熱や脱水が強い
- 呼吸がおかしい
- 急に立てなくなった
🟧 体調が悪いが、緊急ではない
→ 主治医・かかりつけ医院
- 食欲がない
- いつもよりぼんやりしている
- 最近転びやすい
- 物忘れが急に進んだ
- ふらつきが増えた
🟦 生活の問題が大きい
→ 地域包括支援センター(まずはここ)
- 一人暮らしで心配
- 家族が限界
- デイサービスを使いたい
- 施設入所を考えたい
- ケアマネを探したい
地域包括は介護の総合窓口。
「どこに相談すべきかわからない」時もここでOK。
🟩 すでにケアマネがついている
→ ケアマネに相談
- 施設を探したい
- 介護サービスを増やしたい
- ショートステイを使いたい
- 在宅が限界
ケアマネは介護の“司令塔”。
生活の課題はまずここ。
🟪 認知症の相談をしたい
→ もの忘れ外来・精神科・老年科
- 急な怒り
- 夜間の徘徊
- 幻覚・妄想
- 生活が成り立たない
精神科PSWとしても、
認知症の家族支援は非常に相談が多い領域です。
③ 「入院が必要なのか」「施設が必要なのか」の見極めポイント
✔ 入院が必要なサイン
- 医療的処置(点滴・検査)が必要
- 急激な体調悪化
- 意識や行動がおかしい
- 自宅で安全に過ごせない
- 主治医が入院を勧める
※「医療」が必要な状態。
✔ 施設入所(介護)が必要なサイン
- 家族の介護が限界
- 24時間の見守りが必要
- 自宅での生活が難しい
- 夜間のトラブルが多い
- 認知症の行動が抑えられない
※「生活支援」が必要な状態。
④ 医療と介護は“どちらが先”ではなく“同時に動いていい”
相談員として現場を見てきて強く思うのは、
医療と介護は並行して使っていいということ。
例えば——
● 認知症が進んで生活が難しい
→ 病院で評価しつつ、ケアマネで介護サービス調整
● 体調が悪くて自宅が不安
→ 入院+退院後の施設を同時に検討
● 家族が疲れ切っている
→ ショートステイ+受診で状態を確認
医療が“治す支援”、
介護が“支える支援”。
どちらも大事で、どちらかだけでは不十分なことがよくあります。
⑤ まずはこれだけ覚えてほしい「迷わないための地図」
🔵 体のこと → 病院
🟢 生活のこと → 介護(地域包括 or ケアマネ)
🟣 判断に迷う時 → 地域包括に相談すれば間違いなし
地域包括支援センターは
“医療と介護の間に立つ案内役” です。
あなたが今抱えている不安を、
いちばん整理してくれる場所でもあります。
🌈 まとめ
高齢者の医療や介護は複雑に見えますが、
相談先が分かれば一気に整理されます。
大切なのは、
- 医療と介護の違いを知ること
- 迷ったらまず相談すること
- 家族が一人で抱え込まないこと
あなたは今、親のために一生懸命動いています。
その思いだけで十分すぎるほど立派です。
どうか一人で背負い過ぎず、
支援の地図を使いながら、
少しずつ安心に向かって進んでくださいね。


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