「最近、同じ話を何度もするようになった」
「財布や鍵をよく探している」
「今まで出来ていたことが、急にうまく出来なくなった」
そんな “小さな違和感” に気づいたとき、
多くのご家族がこう感じます。
これって年のせい?
それとも認知症…?
でも、何から動けばいいかわからない。
高齢者施設の相談員として、
精神科PSWとして、
私は何度もこの場面に立ち会ってきました。
まずお伝えしたいのは――
「気づいた時点で、もう一歩前に進めています」 ということ。
この記事では、
認知症の初期に「異変かも?」と感じたとき、
家族が“まず”やるべきことを、
順番に整理してお伝えします。
① まず大切なのは「否定せず、静かに様子を見る」
違和感に気づくと、つい言ってしまいがちです。
- 「さっきも言ったでしょ」
- 「また忘れたの?」
- 「ちゃんとして」
でも、初期の段階では
本人も「おかしい」と感じていることが多いのです。
指摘されることで、
- プライドが傷つく
- 不安や怒りが強くなる
- 隠そうとする
といった反応が出ることもあります。
👉 この段階で大切なのは、正そうとしないこと。
まずは
「いつ・どんな場面で・何が起きたか」
を、そっと見守る姿勢で観察してみてください。
② 「気づいた変化」をメモに残す(これが最初の一歩)
医療や介護につなぐとき、
**一番役に立つのは“家族の気づき”**です。
難しい記録は不要です。
スマホのメモや紙で十分。
✍ メモするポイント
- いつ頃から?
- どんな変化?
- どれくらいの頻度?
- 生活に支障は出ている?
✍ 具体例
- 同じ話を1日に何度もする
- 電気やガスの消し忘れが増えた
- 日付や曜日を間違える
- 買い物で同じ物を何度も買う
- 急に怒りっぽくなった
👉 このメモが、**受診や相談の“道しるべ”**になります。
③ 「年のせい」と決めつけず、まずは医療につなぐ
認知症の初期症状は、
実は 治療や調整ができる別の原因 の場合もあります。
- 脱水
- 感染症
- 薬の副作用
- うつ状態
- せん妄
これらは、早めに医療につなぐことで
改善することも少なくありません。
まず相談しやすい先
- かかりつけ医
- 内科
- もの忘れ外来
- 老年科
- 精神科
👉 「認知症かどうか決めてもらう」必要はありません。
👉 「最近、こんな変化があって…」で十分です。
④ 医療と同時に「相談先」を知っておくと不安が減る
診断がつく・つかないに関わらず、
家族の不安は続きます。
そんなとき、
“困ったらここ”という場所を知っているだけで、心がかなり軽くなります。
迷ったらここ
- 地域包括支援センター
地域包括は、
- 認知症の相談
- 介護保険の説明
- 今後の見通し整理
- 必要な支援の案内
を無料でしてくれる 総合窓口 です。
👉 「まだ介護じゃないけど…」
👉 「診断もついてないけど…」
それでも 相談してOK な場所です。
⑤ 「早く動く」=「早く何かを決める」ではない
認知症に気づくと、
「急いで決めなきゃ」と焦ってしまう方が多いです。
でも実際は、
- すぐ施設を決める必要はありません
- すぐ介護サービスを使わなくても大丈夫
- 家族のペースで進めていい
“早く動く”とは、情報と相談先を確保すること。
それだけで、
この先の選択肢はぐっと広がります。
🌱 まとめ
「あれ?いつもと違う?」と感じたあなたは、
すでに家族として とても大切な一歩 を踏み出しています。
今日、覚えておいてほしいのはこの5つ。
- 否定せず、静かに様子を見る
- 気づいた変化をメモする
- 医療につなぐ
- 地域包括を知っておく
- 焦らず、情報を集める
認知症は、
“気づいた家族が孤立しやすい病気” でもあります。
どうか一人で抱え込まず、
相談先を味方につけながら、
少しずつ進んでいってくださいね。


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