#7 【認知症】「あれ?いつもと違う?」
~異変を感じた時に家族が “まず” やるべきこと~

福祉のヒント

「最近、同じ話を何度もするようになった」
「財布や鍵をよく探している」
「今まで出来ていたことが、急にうまく出来なくなった」

そんな “小さな違和感” に気づいたとき、
多くのご家族がこう感じます。

これって年のせい?
それとも認知症…?
でも、何から動けばいいかわからない。

高齢者施設の相談員として、
精神科PSWとして、
私は何度もこの場面に立ち会ってきました。

まずお伝えしたいのは――
「気づいた時点で、もう一歩前に進めています」 ということ。

この記事では、
認知症の初期に「異変かも?」と感じたとき、
家族が“まず”やるべきことを、
順番に整理してお伝えします。


① まず大切なのは「否定せず、静かに様子を見る」

違和感に気づくと、つい言ってしまいがちです。

  • 「さっきも言ったでしょ」
  • 「また忘れたの?」
  • 「ちゃんとして」

でも、初期の段階では
本人も「おかしい」と感じていることが多いのです。

指摘されることで、

  • プライドが傷つく
  • 不安や怒りが強くなる
  • 隠そうとする

といった反応が出ることもあります。

👉 この段階で大切なのは、正そうとしないこと。
まずは
「いつ・どんな場面で・何が起きたか」
を、そっと見守る姿勢で観察してみてください。


② 「気づいた変化」をメモに残す(これが最初の一歩)

医療や介護につなぐとき、
**一番役に立つのは“家族の気づき”**です。

難しい記録は不要です。
スマホのメモや紙で十分。

✍ メモするポイント

  • いつ頃から?
  • どんな変化?
  • どれくらいの頻度?
  • 生活に支障は出ている?

✍ 具体例

  • 同じ話を1日に何度もする
  • 電気やガスの消し忘れが増えた
  • 日付や曜日を間違える
  • 買い物で同じ物を何度も買う
  • 急に怒りっぽくなった

👉 このメモが、**受診や相談の“道しるべ”**になります。


③ 「年のせい」と決めつけず、まずは医療につなぐ

認知症の初期症状は、
実は 治療や調整ができる別の原因 の場合もあります。

  • 脱水
  • 感染症
  • 薬の副作用
  • うつ状態
  • せん妄

これらは、早めに医療につなぐことで
改善することも少なくありません。

まず相談しやすい先

  • かかりつけ医
  • 内科
  • もの忘れ外来
  • 老年科
  • 精神科

👉 「認知症かどうか決めてもらう」必要はありません。
👉 「最近、こんな変化があって…」で十分です。


④ 医療と同時に「相談先」を知っておくと不安が減る

診断がつく・つかないに関わらず、
家族の不安は続きます。

そんなとき、
“困ったらここ”という場所を知っているだけで、心がかなり軽くなります。

迷ったらここ

  • 地域包括支援センター

地域包括は、

  • 認知症の相談
  • 介護保険の説明
  • 今後の見通し整理
  • 必要な支援の案内

を無料でしてくれる 総合窓口 です。

👉 「まだ介護じゃないけど…」
👉 「診断もついてないけど…」

それでも 相談してOK な場所です。


⑤ 「早く動く」=「早く何かを決める」ではない

認知症に気づくと、
「急いで決めなきゃ」と焦ってしまう方が多いです。

でも実際は、

  • すぐ施設を決める必要はありません
  • すぐ介護サービスを使わなくても大丈夫
  • 家族のペースで進めていい

“早く動く”とは、情報と相談先を確保すること。

それだけで、
この先の選択肢はぐっと広がります。


🌱 まとめ

「あれ?いつもと違う?」と感じたあなたは、
すでに家族として とても大切な一歩 を踏み出しています。

今日、覚えておいてほしいのはこの5つ。

  1. 否定せず、静かに様子を見る
  2. 気づいた変化をメモする
  3. 医療につなぐ
  4. 地域包括を知っておく
  5. 焦らず、情報を集める

認知症は、
“気づいた家族が孤立しやすい病気” でもあります。

どうか一人で抱え込まず、
相談先を味方につけながら、
少しずつ進んでいってくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました