#04 「働きたい」を諦めない!
~障害者雇用と就労移行支援、どちらを選ぶか迷った時のヒント~

医療のヒント

「そろそろ社会復帰したいけれど、何から始めればいいんだろう…」
「障害者雇用と就労移行支援って、どう違うの?」
「自分にはどっちが合っているのかわからない…」

精神疾患で休職中の方や、これから働きたいと思っている方から、
PSWとしてよくいただく相談のひとつです。

働くための道はひとつではありません。
あなたに合ったペースで、あなたに合った方法で、
“もう一度働く”という選択肢を一緒に広げていきましょう。

この記事では、
障害者雇用就労移行支援 の違いをわかりやすく整理し、
「迷った時の判断ポイント」までやさしく解説します。


① 障害者雇用と就労移行支援の“シンプルな違い”

まずは、2つの制度をできるだけシンプルにまとめると…


✔ 障害者雇用(働く場)

  • 企業に雇用されて働く
  • 給料あり
  • 雇用契約を結ぶ
  • 配慮を受けながら働ける
  • 働いた分だけ収入が安定

✔ 就労移行支援(働くための準備)

  • 事業所(福祉サービス)に通う
  • 訓練が中心
  • 雇用契約は結ばない
  • 生活リズム・スキル・面接練習などを整える
  • 企業への就職を目指すための“ステップ”

つまり、
障害者雇用=スタートラインに立つ場
就労移行支援=スタートラインに立つための準備期間

と考えるとわかりやすいです。


② “どちらがいい?”ではなく、“どちらが今の自分に合うか”

迷ってしまう人の多くは、
「どちらが得なのか」という視点で考えてしまいます。

でも大切なのは、
今の自分がどれだけ働ける状態か? という視点です。


③ 障害者雇用が向いている人の特徴

以下の項目に2つ以上あてはまれば、障害者雇用を検討しやすいです。

✔ 仕事の経験がある

過去に一般就労やパートなどの経験があると、復職しやすくなります。

✔ 働く意欲が強い

「すぐにでも働きたい」「やりたい職種がある」など。

✔ 生活リズムが整っている

毎日同じ時間に起きられる、通勤の体力があるなど。

✔ 配慮を受ければ働けそう

・ミスのフォロー
・体調に合わせた時間調整
・静かな作業環境
など

✔ 収入を安定させたい

月給が必要・生活費のために働きたい場合は、障害者雇用が現実的です。


④ 就労移行支援が向いている人の特徴

以下の項目が当てはまる場合は、
まず就労移行支援から始める方が安心です。

✔ 生活リズムが不安定

朝起きられない・昼夜逆転があるなど。

✔ 働く自信が持てない

「また失敗するのが怖い」「ブランクが長い」という方。

✔ 対人関係やコミュニケーションに不安がある

訓練で徐々に慣れていけます。

✔ スキル・経験を積みたい

PC訓練、ビジネスマナー、実習など、練習の場が欲しい場合。

✔ 就職活動が不安

履歴書の書き方、面接対策、職場実習などサポートを受けたい方。


⑤ 迷った時の“判断ポイント”3つ

制度の違いを理解した上で、それでも迷うときは以下の3点で判断するとスッキリします。


🧭 ① 今の生活リズム(週5で通える?)

障害者雇用 → 週5勤務が基本
就労移行支援 → 週3〜4から徐々に増やせる

毎日通う体力がまだ不安なら、就労移行からが安全。


🧭 ② 働く目的(すぐ収入が必要?)

障害者雇用 → 給料が入る
就労移行支援 → 訓練中心のため収入は少なめ(工賃など)

経済的に急ぎがある場合は障害者雇用が現実的。


🧭 ③ サポートの量(どれだけ支援が必要?)

障害者雇用 → 会社の配慮中心
就労移行支援 → 毎日スタッフが支える

サポートが必要な場面が多い場合は、就労移行が安心。


⑥ 実は“組み合わせて使う”人が一番多い

多くの人が
就労移行で準備 → 障害者雇用で働く
という流れを取っています。

ステップを踏むことで、
・再発を防ぎ
・長く働ける環境を整え
・自分に合う職場を選びやすくなります。

“どちらかを選ばなきゃいけないわけではない”ので安心してくださいね。


⑦ まずはここから!制度利用の“最初の1歩”


🌱 ① 主治医に相談する

「働きたいけれど不安がある」と伝えるだけでOK。


🌱 ② 住んでいる地域の相談支援事業所 or 医療ソーシャルワーカー(PSW)に相談

制度の違いや向き不向きを一緒に整理してくれます。


🌱 ③ 気になる事業所・企業を見学する

見学だけでもOK。
「自分の目で見る」と安心感が違います。


🌈 まとめ

働くことに不安はつきものですが、
あなたには 制度と支援がしっかり味方をしてくれます。

大切なのは、

「どちらが正しいか」よりも「今のあなたに合っているか」
という視点。

一歩ずつ自分のペースで進めば、必ず道は開けます。
あなたの「もう一度働きたい」を心から応援しています。

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