「そろそろ社会復帰したいけれど、何から始めればいいんだろう…」
「障害者雇用と就労移行支援って、どう違うの?」
「自分にはどっちが合っているのかわからない…」
精神疾患で休職中の方や、これから働きたいと思っている方から、
PSWとしてよくいただく相談のひとつです。
働くための道はひとつではありません。
あなたに合ったペースで、あなたに合った方法で、
“もう一度働く”という選択肢を一緒に広げていきましょう。
この記事では、
障害者雇用 と 就労移行支援 の違いをわかりやすく整理し、
「迷った時の判断ポイント」までやさしく解説します。
① 障害者雇用と就労移行支援の“シンプルな違い”
まずは、2つの制度をできるだけシンプルにまとめると…
✔ 障害者雇用(働く場)
- 企業に雇用されて働く
- 給料あり
- 雇用契約を結ぶ
- 配慮を受けながら働ける
- 働いた分だけ収入が安定
✔ 就労移行支援(働くための準備)
- 事業所(福祉サービス)に通う
- 訓練が中心
- 雇用契約は結ばない
- 生活リズム・スキル・面接練習などを整える
- 企業への就職を目指すための“ステップ”
つまり、
障害者雇用=スタートラインに立つ場
就労移行支援=スタートラインに立つための準備期間
と考えるとわかりやすいです。
② “どちらがいい?”ではなく、“どちらが今の自分に合うか”
迷ってしまう人の多くは、
「どちらが得なのか」という視点で考えてしまいます。
でも大切なのは、
今の自分がどれだけ働ける状態か? という視点です。
③ 障害者雇用が向いている人の特徴
以下の項目に2つ以上あてはまれば、障害者雇用を検討しやすいです。
✔ 仕事の経験がある
過去に一般就労やパートなどの経験があると、復職しやすくなります。
✔ 働く意欲が強い
「すぐにでも働きたい」「やりたい職種がある」など。
✔ 生活リズムが整っている
毎日同じ時間に起きられる、通勤の体力があるなど。
✔ 配慮を受ければ働けそう
・ミスのフォロー
・体調に合わせた時間調整
・静かな作業環境
など
✔ 収入を安定させたい
月給が必要・生活費のために働きたい場合は、障害者雇用が現実的です。
④ 就労移行支援が向いている人の特徴
以下の項目が当てはまる場合は、
まず就労移行支援から始める方が安心です。
✔ 生活リズムが不安定
朝起きられない・昼夜逆転があるなど。
✔ 働く自信が持てない
「また失敗するのが怖い」「ブランクが長い」という方。
✔ 対人関係やコミュニケーションに不安がある
訓練で徐々に慣れていけます。
✔ スキル・経験を積みたい
PC訓練、ビジネスマナー、実習など、練習の場が欲しい場合。
✔ 就職活動が不安
履歴書の書き方、面接対策、職場実習などサポートを受けたい方。
⑤ 迷った時の“判断ポイント”3つ
制度の違いを理解した上で、それでも迷うときは以下の3点で判断するとスッキリします。
🧭 ① 今の生活リズム(週5で通える?)
障害者雇用 → 週5勤務が基本
就労移行支援 → 週3〜4から徐々に増やせる
毎日通う体力がまだ不安なら、就労移行からが安全。
🧭 ② 働く目的(すぐ収入が必要?)
障害者雇用 → 給料が入る
就労移行支援 → 訓練中心のため収入は少なめ(工賃など)
経済的に急ぎがある場合は障害者雇用が現実的。
🧭 ③ サポートの量(どれだけ支援が必要?)
障害者雇用 → 会社の配慮中心
就労移行支援 → 毎日スタッフが支える
サポートが必要な場面が多い場合は、就労移行が安心。
⑥ 実は“組み合わせて使う”人が一番多い
多くの人が
就労移行で準備 → 障害者雇用で働く
という流れを取っています。
ステップを踏むことで、
・再発を防ぎ
・長く働ける環境を整え
・自分に合う職場を選びやすくなります。
“どちらかを選ばなきゃいけないわけではない”ので安心してくださいね。
⑦ まずはここから!制度利用の“最初の1歩”
🌱 ① 主治医に相談する
「働きたいけれど不安がある」と伝えるだけでOK。
🌱 ② 住んでいる地域の相談支援事業所 or 医療ソーシャルワーカー(PSW)に相談
制度の違いや向き不向きを一緒に整理してくれます。
🌱 ③ 気になる事業所・企業を見学する
見学だけでもOK。
「自分の目で見る」と安心感が違います。
🌈 まとめ
働くことに不安はつきものですが、
あなたには 制度と支援がしっかり味方をしてくれます。
大切なのは、
「どちらが正しいか」よりも「今のあなたに合っているか」
という視点。
一歩ずつ自分のペースで進めば、必ず道は開けます。
あなたの「もう一度働きたい」を心から応援しています。



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