精神科病院で働いていると、退院前の面談で
「家に戻るのが不安です…」
という声を本当にたくさん聞きます。
本人も家族も、長い入院生活を終えて自宅に戻るとき、
いろんな不安が押し寄せてくるのは当然のことです。
- 生活リズムは整うかな…
- 家事や買い物、どうしよう…
- お金やサービスの手続きはどうすればいい?
- そもそも家でうまく生活できるのかな…
介護施設の相談員として高齢者支援に携わった頃も、まったく同じ不安を耳にしてきました。
でも大丈夫。
“順番に準備”さえしておけば、「家に帰る」は必ず前へ進みます。
この記事では、精神科PSWとして、
そして介護施設の相談員としての経験を踏まえ、
退院後の生活を不安なくスタートするための“3つの準備”をお伝えします。
① 生活リズムの準備
まずは「退院後の1日の流れ」を作っておく
退院直後は、病院で整っていた生活リズムが一気に崩れやすくなります。
とくに精神科では、生活リズムが乱れる → 体調が不安定になるという連動が起きやすいもの。
● できれば退院前から始めたいこと
- 起床・就寝時間を一定にする
- 食事の時間を決める
- 昼夜逆転を避ける
- 「できる範囲」で家事や散歩など、軽めの活動を習慣に
● 退院後すぐに整えておきたい環境
- 服薬カレンダー・ピルケースの準備
- スマホのアラーム設定
- 朝・夜のルーティンを紙やホワイトボードに書く
- 寝室・リビングを“整った空間”にしておく
生活リズムは、退院後の安心の土台。
まずは“1日の型”を作るところから始めましょう。
② 利用サービスの準備
「使える支援」を知るだけで不安は半分なくなる
「家で生活できるかな…」という不安は、
“ひとりで全部やらなきゃ”と思っている時に大きくなります。
実際には、使えるサービスはたくさんあります。
● 精神科でよく利用されるサービス
- 訪問看護(服薬・健康管理・相談・見守り)
- デイケア(生活リズム・活動量アップ)
- ショートケア(短時間で通いやすい)
- 障害福祉サービス(居宅介護・同行支援)
- 就労支援(B型・A型・移行)
● 高齢者の場合は介護保険サービスも
元相談員の視点から言えば、
65歳以上であれば次のサービスが生活を大きく支えます。
- デイサービス・デイケア
- ヘルパー
- ショートステイ
- 福祉用具レンタル
精神科と介護保険は併用できるケースが多いので、
PSW・地域包括支援センター・ケアマネに気軽に相談してくださいね。
● サービス調整は「退院前」に動くのがベスト
退院後に慌てて探すより、
退院後1週間~1ヶ月の生活イメージを、事前にPSWと描いておくのがポイントです。
③ お金の準備
“知らない”だけで不安になる。制度を味方につける。
退院前の相談で特に多い不安が「お金」。
でも、大半は制度を知ることで解消できます。
● 医療費を抑える制度
- 自立支援医療(精神通院)
→ 通院・薬の自己負担が原則1割になる - 高額療養費制度
- 限度額認定証
● 生活費の不安がある場合
- 障害年金
- 生活保護
- 障害者手帳の活用(交通費割引など)
● 本人・家族が安心できるコツ
- 「何が不安か」を紙に書き出す
- 退院前面談で PSW に“制度の見通し”を確認する
- 必要なら家族も同席する
- お金の不安は“早めに相談”が鉄則(最も改善しやすい分野だから)
お金の不安は、知識が増えるほど小さくなります。
一緒に整理してもらえば、驚くほど気持ちが軽くなりますよ。
💡まとめ:大切なのは「ひとりで背負わない」こと
退院は、本人にとっても家族にとっても大きな出来事です。
不安になるのは自然なこと。
でも、
生活リズム × 利用サービス × お金
この3つを“少しずつ準備しておく”だけで、退院後の暮らしはぐっと安定します。
精神科PSWとして、そして高齢者施設で相談員をしてきた経験から言えるのは…
「家で暮らす準備」は、ひとりで背負わなくていい」ということ。
PSW、地域包括、ケアマネ、訪問看護…
頼れる専門職はたくさんいます。
わからないことがあれば、いつでも誰かに相談してくださいね。
そして、あなたとご家族が“自宅で元気でいられる未来”を心から応援しています。


コメント