#15 「うつ」と「認知症」は見分けられる?
~高齢者の元気がない時に疑うべき “老年期うつ”~

医療のヒント

「最近、親が元気がない」

「物忘れが増えてきた気がする」

「もしかして、認知症が始まっているのでは…?」

高齢の親を見ていると、こうした不安が頭をよぎることはとても自然なことです。

でも実は、 認知症だと思っていた症状が、治療可能な“うつ”だった というケースは、決して少なくありません。

この記事では、 高齢者の元気がないときに知っておいてほしい 「老年期うつ」と認知症の違い、 そして 家族が最初にできること を、 分かりやすさを大切にしながらお伝えします。


① 高齢者の「元気がない」は、よくある悩み

年を重ねると、

  • 外出が減る
  • 話す機会が少なくなる
  • 活動量が落ちる

こうした変化は自然に起こります。 だからこそ、 「年相応かな」 「仕方ないのかな」 と見過ごされやすいのですが——

👉 その裏に“うつ”が隠れていることもあります。

特に高齢者のうつは、 気分の落ち込みが目立たず、別の形で現れる という特徴があるため、注意が必要です。


② 老年期うつとは?

老年期うつとは、高齢期に起こるうつ状態のことです。 原因としては、

  • 退職による役割の喪失
  • 配偶者や友人との死別
  • 身体の病気や痛みへの不安
  • 社会的な孤立

などが重なりやすい時期でもあります。

若いうつ病と違い、 「悲しい」「つらい」と言葉で表現せず、 「体調不良」や「認知機能の低下」として表れることが多いのが特徴です。


③ こんな症状があったら「老年期うつ」を疑って

● 意欲の低下が目立つ

  • 何もしたがらない(億劫がる)
  • 好きだった趣味に興味を示さない
  • 新聞やテレビを見なくなった

● 体の不調ばかり訴える

  • 「ここが痛い」「眠れない」と訴えが増える
  • 検査をしても異常がないのに不調が続く
  • 食欲が極端に落ちる

👉 高齢者のうつは「心のつらさ」より「体のつらさ」が前面に出やすいです。

● 物忘れを気にしすぎる(ここがポイント!)

  • 「自分はもうダメだ」
  • 「ボケたかもしれない」と深刻に悩む
  • 質問に対して『分からない』と投げやりに答える

👉 うつの人は、物忘れを「強く自覚」し、悲観的になりやすい特徴があります。


④ 認知症と老年期うつの違い(家族が気づきやすいポイント)

とても大切なポイントを、分かりやすく整理します。

🔍 ① 本人の自覚

  • 老年期うつ: 「忘れる」「できない」と強く気に病む。
  • 認知症: 忘れていることへの自覚が乏しい、または「歳のせい」とあっけらかんとしていることが多い。

🔍 ② 質問への反応

  • 老年期うつ: 考えるのが億劫で、すぐに「分からない」「知らない」と答える。
  • 認知症: 「あー、あれね」などと話を合わせたり、取り繕ったりすることがある。

🔍 ③ 日による波

  • 老年期うつ: 朝方に調子が悪く、夕方になると少し元気になるなど、1日の中で波がある。
  • 認知症: 比較的一定しているが、夕方になると不安が強まることがある。

🔍 ④ 治療の反応

  • 老年期うつ: 適切な治療により、改善する可能性が高い。
  • 認知症: 進行を緩やかにする治療やケアが中心。

👉 つまり、 「うつであれば、適切な治療で以前の元気を取り戻せる可能性がある」 という点が、とても重要な希望です。


⑤ 家族が「最初に」できること

「じゃあ、何からすればいいの?」 そう思った方へ。

✔ いきなり「認知症」と決めつけない

「ボケたんじゃない?」 「年だから仕方ない」 こうした言葉は、不安の中にいる本人を深く傷つけてしまうことがあります。 まずは「今はエネルギー切れの状態かもしれない」と考えてみてください。

✔ まずは医療につなぐ

おすすめは、

  • かかりつけ医
  • 内科
  • 精神科・心療内科(もの忘れ外来など)

いきなり精神科がハードル高ければ、まずはかかりつけ医に相談を。

👉 「最近元気がない」「食欲や睡眠が落ちている」 と、生活の変化として伝えるのがポイントです。 (※脱水や薬の副作用など、体の問題がないかも診てもらえます)

✔ 家族だけで抱え込まない

  • 地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)
  • 病院の相談員(PSW)

まずは、気になった時点で聞いてみましょう。

👉 「認知症か、うつか分からないけれど心配」 という段階で相談して大丈夫です。


🌈 まとめ

「最近、親がボケてきたかも…」 そう感じたとき、それは悪い予兆ではなく、“ケアが必要なサイン” かもしれません。

  • うつと認知症は、症状が似ることがある
  • 老年期うつは、治療で改善する可能性がある
  • 「分からない」と投げやりになっていたら要注意

そして何より——

👉 家族が「いつもと違う」と気づいたこと自体が、すでに大切な一歩です。

どうか、「もう年だから」と諦めず、 治療につながる可能性を残してあげてくださいね。

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