#19 「親なき後」が心配…
~80代の親と50代の子が孤立しないために、今からできる“お金と居場所”の準備~

福祉のヒント

「この子は、私がいなくなったらどうなるんだろう」

「親なき後のことを考えると、夜眠れない」

いわゆる「8050問題(80代の親が50代の子を支える状態)」に悩むご家族から、相談の現場で何度も聞いてきた言葉です。

この記事では、親が元気な“今”だからこそできる準備として、 「お金」と「居場所」の2つの視点から、 漠然とした不安を、少しずつ「現実的な安心」に変えるヒントをお伝えします。


① 8050問題のいちばんの怖さは「孤立」

8050問題で本当に怖いのは、障害やひきこもりそのものではありません。

👉 「人とのつながりが途切れてしまうこと」

👉 「支援が必要な状態なのに、誰も気づけなくなること」

親が元気なうちは、

  • 生活費を出している
  • 家事を担っている
  • 役所や病院など「外との窓口」になっている

でも、その役割を担う親御さんが突然いなくなったとき、お子さんが社会から“一気に孤立してしまう(SOSが出せなくなる)”こと。これが最大のリスクです。

だからこそ、 「亡くなった後」の心配をするのではなく、 「今から、孤立しない形(SOSが出る仕組み)をつくる」 ことが大切です。


② 「お金の不安」は、制度で軽くできる

親なき後を考えるとき、まず頭に浮かぶのがお金の問題です。 ここは「収入」と「管理」に分けて考えましょう。

✔ 生活費はどうする?(収入の確保)

  • 障害年金
  • 生活保護
  • 各種手当

👉 「働けない=生きていけない」ではありません。 日本の福祉制度は、“自立できない人を責めるもの”ではなく、生き続けるための土台です。

【⚠️PSWからの重要ポイント】

もし今、お子さんが医療にかかっていないなら、『一度受診しておく』だけでも大きな準備になります。 将来、障害年金を申請しようとした時、「医師の診断」や「通院歴」がないと申請できないことがあるからです。受診歴を作っておくことは、将来のお子さんにお金を残すのと同じくらい大切です。

✔ 親のお金はどう残す?(管理の仕組み)

  • すべてを子に任せる必要はない
  • 成年後見・任意後見・家族信託など、「想いを制度に乗せる」

👉 大切なのは、「一生分のお金を残す」ことではなく、「困らない最低限の仕組み(制度)」を用意することです。


③ 「居場所」があるかどうかで、未来は変わる

お金と同じくらい、いや、それ以上に大切なのが 「居場所(人とのつながり)」 です。

✔ 家の外に、関係があるか

  • 通所先、作業所
  • デイケア
  • ひきこもり地域支援センター
  • 家族会

👉 週に1回、いや“月に1回”でも構いません。 「家族以外の誰かが、お子さんのことを知っている」。 この事実があるだけで、親なき後の共倒れリスクは大きく下がります。

✔ 「今は必要ない」でもOK

多くの親御さんが言います。 「うちは、まだ大丈夫」 「この子は外に出たがらないから無理」

それでも問題ありません。お子さんが動けなければ、まずは「親御さんだけ」がつながりを作ればいいのです。

“今すぐ使う”ためではなく、👉 “使える先(相談先)を知っておく”こと。

それ自体が、立派な準備です。


④ 親がやるべき役割は「抱え続ける」ことではない

8050家庭でよくあるのが、親が最後まで「私がなんとかしなきゃ」と自分一人で背負ってしまうことです。

でも、PSWとして強くお伝えしたいのは——

親の役割は、 👉 “最期まで守り続けること”ではなく“次の支援者にバトンをつなぐこと” です。

  • 制度につなぐ
  • 相談員(人)につなぐ
  • 親族に状況を伝えておく

これができていれば、親がいなくなっても、子どもは社会から完全に切り離されずに済みます。


⑤ 今からできる、小さな一歩

全部を一気に考えなくて大丈夫です。まずはここから始めてみませんか?

  1. 地域包括支援センターに相談する (「親である自分の介護の相談」という入り口ならハードルが低いです)
  2. 「ひきこもり家族会」などを調べてみる
  3. 緊急時のメモを残す (「もし私が倒れたら、この子は一人になります。ここに連絡してください」と書いたメモを、保険証と一緒に置いておく)

👉 「誰かに相談した」という事実そのものが、最大の準備です。


🌈 まとめ

「親なき後」が不安なのは、それだけお子さんの人生を大切に思っている証拠です。

  • 今からできることはある(医療や相談先への接続)
  • 一人で考えなくていい
  • すべてを完璧に整えなくていい

大切なのは、 👉 孤立しない仕組みを、少しずつつくること。

どうか、「自分がいなくなったら終わり」と思わないでください。 支援のバトンは、親が元気な“今”から、少しずつ渡していくことができます。

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