「もしかして、自分は大人の発達障害なのかな……。」 仕事で同じミスを繰り返したり、人間関係でいつもつまずいたり。 インターネットで自分の困りごとを調べているうちに、発達障害という言葉にたどり着いた方もいるかもしれません。
でも、その一方で、 「もし本当に発達障害だったらどうしよう。」 「診断されたら、もう普通に働けなくなってしまうのかな。」 「今さら分かったところで、大人になった自分が何か変わるの?」 そんな底知れない不安を感じることもあると思います。
まず、PSW(精神保健福祉士)として、一番にお伝えしたいことがあります。 👉 今すぐ「自分は発達障害なのかどうか」という白黒の答えを出さなくても大丈夫です。
診断を受けるべきかどうかを悩む前に、 👉 「私は今、毎日のどんな場面で一番困っているんだろう?」 そこからゆっくり整理していくだけでいいのです。

① 「発達障害かも」と思うまでに、あなたはたくさん悩んできた
大人になって発達障害について調べ始める方の中には、それまで長い間、誰にも言えずに一人で頑張ってきた方がいます。
「次こそは絶対に注意しよう。」 「もう絶対に失敗しないようにしよう。」 「周りに迷惑をかけないように、ちゃんとしなきゃ。」
それなのに、また同じような場面でつまずいてしまう。 そして、👉 「自分は仕事ができないダメな人間なんだ」 と、自分を激しく責め続けてきたはずです。
でも、もしそこに何らかの「脳の特性(発達特性)」が関係しているのであれば、それはあなたの👉 「努力不足」や「気合い」だけでは絶対に説明できません。 「もしかして」と思ったこと自体が、自分を責めるのをやめて、自分の困りごとを正しく理解するための「大切な入口」になることがあります。
② インターネットだけで、自分を診断しなくて大丈夫
今は、発達障害についてたくさんの情報がスマホですぐに調べられます。 ネットのチェックリストを見て、👉 「ほとんど当てはまる……自分はやっぱり発達障害なんだ」 と不安でいっぱいになることもあるでしょう。
ただ、ここはPSWとしてお伝えしたいのですが、👉 似たような困りごとは、発達障害「以外」の理由でも起こります。
例えば、強いストレスによる「適応障害」や、気分の落ち込み(うつ状態)、極度の睡眠不足などが影響して、👉 一時的に脳の働き(集中力や記憶力)が低下しているだけの状態 であることも現場では非常によくあります。
だから、👉 「ネットの項目に当てはまる=私は発達障害だ」と、一人で結論を出して絶望する必要はありません。 困りごとが続いているのであれば、その「困っている事実」だけを持って専門家に相談に行けばいいのです。
③ 精神科に行ったら、必ず診断されるわけではない
「病院へ行ったら、その日のうちに発達障害というレッテルを貼られてしまうのでは?」 そんな恐怖を持つ方もいます。
でも、成人の発達障害の診断は、そんなに簡単なものではありません。 現在の困りごとだけでなく、子どもの頃の通知表や生活歴、仕事や家庭での状況などを確認し、👉 心理検査(WAISなどの知能検査)を組み合わせて、「脳の得意・不得意の凸凹」を慎重に客観的に調べていきます。
つまり、👉 「精神科を受診する=すぐに診断が決まる」というわけではありません。 「仕事でどうしてもメモが取れなくて困っています。」 そこから相談を始めるだけで、全く問題ないのです。
④ 診断を受けて「ホッとした」という人もたくさんいる
診断に対する受け止め方は、本当に人それぞれです。 ショックを受けて泣き崩れる方もいれば、 👉 「なんだ、私が怠けていたわけじゃなかったんだ!やっと理由が分かった。」 と、長年の肩の荷が下りて安心する方もたくさんいらっしゃいます。
それまで「自分がだらしないから」「努力が足りないから」と自分を責め続けていた苦しみに、👉 「脳の特性のせいだった」という医学的な理由(別の見方) ができるようになるからです。
過去の失敗そのものは変わりません。でも、👉 過去の自分を見る目は確実に変わります。 「あの頃の自分は、合わない環境の中で精一杯やっていたんだな。」 そう思えることも、自分を許し、理解していくための大切な過程なのだと思います。
⑤ 「診断を受ければ全部解決する」わけでもない
ここもとても大切なところです。 「発達障害」という診断名がついたからといって、魔法のように翌日からすべての困りごとが消えてなくなるわけではありません。
大切なのは、診断がついた「その先」です。 診断名や心理検査の結果は、👉 「自分を使いこなすためのトリセツ(取扱説明書)」を作るための材料 です。
✔ どんな場面で脳がパンクしやすいのか ✔ どんな工夫(環境調整)があれば働きやすいのか ✔ 障害者枠など、どんな支援や制度が利用できるのか
これを一緒に整理していくことこそが、最も重要なのです。
⑥ 「診断を受けるか」より先に、「困っている」と相談していい
「発達障害かどうかも分からないのに、相談していいのかな。」 そう思う方もいるかもしれません。大丈夫です。 相談する段階で、診断名を決めておく必要は全くありません。
「仕事で同じミスを繰り返してしまいます。」 「複数の指示を受けると頭が真っ白になります。」 👉 これだけで、相談する理由としては100点満点です。
医療機関を受診する勇気が出ないときは、まずは地域の「発達障害者支援センター」や、病院にいるPSW(相談員)へ気軽に相談できる場所もあります。
⑦ PSWとして伝えたいこと。診断名より、あなたの「生活」を見る
精神科で働いていると、さまざまな診断名に触れます。 でも、私たちがその方の生活を考えるときに大切にしているのは、診断名という「ラベル」ではありません。
「朝、苦しまずに起きられるだろうか。」 「職場では何に一番困っているのだろう。」 「どんなことなら、笑顔で力を発揮できるだろう。」
そうした生活の一つひとつを一緒に考えていきます。 👉 診断名は、あなたという人間のすべてではありません。 あなたは、診断名がつく前も、もしついた後であっても、これまで一生懸命に生きてきた「同じあなた」です。何も変わりません。
🌈 まとめ
「もしかして発達障害かもしれない。」 そう思ったとき、怖くなるのは人間として当然のことです。今までの自分の人生が、全部違って見えてしまうような不安になる方もいるでしょう。
でも、急いで答えを出さなくて大丈夫です。 まずは、👉 「自分は今、何に一番困っているんだろう?」 と考えるところから始めてみてください。 そして、一人で抱えるのが限界なら、「困っています」と誰かに伝えてみる。それだけで十分な一歩です。
これまで、👉 「どうして自分だけできないんだろう」 と自分を責め続けてきたあなたへ。 これからは、👉 「自分は、どうしたら少し楽に生きられるだろう?」 と問いかけてみてもいいのではないでしょうか。
自分を責めるためではなく、自分を知るために。 その小さな方向転換から、これからの生き方が少しずつ、あなたらしく変わっていくはずです。


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